退職前の貯金はいくら必要?最低ラインと安心ラインを元経験者が解説

「辞めたいのに、貯金が全然足りない気がして踏み出せない」

その気持ち、すごくよくわかります。私が仕事を辞めようと決めた時も、真っ先に頭をよぎったのはお金のことでした。「次が決まるまで、どれくらいかかるんだろう」「失業給付ってすぐもらえるの?」と、不安ばかりが膨らんでいた記憶があります。

この記事では、退職前に「いくら貯金しておけばいいか」を、数字で具体的に解説します。最低ラインと安心ラインを分けて整理するので、自分に当てはめて計算してみてください。お金の不安を数字に変えると、見通しが立って少し楽になりますよ。

この記事でわかること
  • 退職後にかかるお金の3つの柱
  • 最低ライン(生活費3ヶ月分)と安心ライン(6ヶ月分)の目安
  • 失業給付がいつ・いくら入るか
  • 貯金が足りない場合の3つの選択肢
  • 退職前にやっておくお金の準備チェックリスト
目次

「お金がないから辞められない」は本当か?まず数字で考えてみます

貯金が少ないと「足りない気がする」のはわかります。でも、それが本当に足りないのかどうかは、一度具体的な数字に落とすまでわかりません。

退職後にかかるお金の3つの柱

退職後に必要なお金は、大きく3つに分けられます。

  • 生活費:食費・家賃・光熱費・スマホ代など毎月かかる費用
  • 手続き費用の増分:国民健康保険・国民年金の自己負担増加分
  • 転職活動費:スーツ・交通費・証明写真など(5〜10万円程度)

一人暮らしの生活費は月17万円が目安

総務省の家計調査(2024年)によると、単身世帯の1ヶ月の消費支出は約170,000円です(家賃含む)。

都市部に住んでいる場合はこれより高くなることが多く、月18〜20万円を見込む人も少なくありません。自分の実際の支出を把握するには、1ヶ月分の通帳や明細を見ながら計算してみるのが一番正確です。

「最低ライン」と「安心ライン」は別物です

「いくら必要?」という質問には2つの答えがあります。最低限これだけあれば「詰まらない」ラインと、余裕を持って動ける「安心ライン」です。

最低ライン:生活費3ヶ月分+失業給付の空白期間分

自己都合退職の場合、失業給付が入り始めるまで約1.5ヶ月かかります(2025年4月の雇用保険法改正で、給付制限が2ヶ月から1ヶ月に短縮されました)。退職直後からハローワークで手続きをして、7日間の待機期間+1ヶ月の給付制限期間を経て、初回入金になります。

この空白期間の生活費に加え、転職活動期間中もある程度の生活費が必要です。最低ラインとして、生活費3ヶ月分を目安にしてください。一人暮らしなら約50〜60万円が最低ラインの目安です。

安心ライン:生活費6ヶ月分(転職活動が長引いた場合の備え)

マイナビの調査によると、転職活動期間は53.8%の人が1〜3ヶ月と答えています。ただし、希望する職種や採用状況によっては半年以上かかることもあります。

「転職活動が長引いても焦らずに動ける」安心感を持つなら、生活費6ヶ月分+転職活動費10万円が安心ラインです。一人暮らしなら約110〜120万円が目安になります。

私が辞めた時の貯金と、実際にかかった費用

私が仕事を辞めた時、退職後1ヶ月間は完全に休養しました。転職活動を始めたのはその後で、さらに3ヶ月かかりました。

正直、余裕のある貯金があったわけではありませんでした。でも、わたしの場合実家暮らしだったのでさほど心配する必要はありませんでした。

新しい就職先が決まるまで生活費として渡していたお金を少し減らさせてもらうことができたのです。それぞれの環境により変わるので、まずは状況を整理することが重要です。

退職後に失業給付はいつ、いくらもらえる?

「失業給付があるから大丈夫」とよく聞きますが、実際にいつから入るのか、いくら入るのかを正確に把握している人は少ないです。

自己都合退職の場合:退職から約1.5ヶ月後にもらい始める(2025年4月改正)

2025年4月の雇用保険法改正で、自己都合退職の給付制限が2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。具体的な流れはこうです。

  • 退職
  • ハローワークで求職申込み
  • 7日間の待機期間
  • 1ヶ月の給付制限
  • 初回認定日 → 入金

手続きに要する時間を含めると、退職から初回入金まで約1.5ヶ月が目安です。この空白期間分の生活費だけは必ず手元に置いておく必要があります。

特定理由離職者なら給付制限なし

体調不良・職場のハラスメント・残業が極端に多いなど、一定の理由がある場合は「特定理由離職者」として認定され、給付制限なしで失業給付を受給できる可能性があります。詳しくは失業給付の受給条件と手続き方法の記事でまとめています。

失業給付でもらえる金額の目安(月収別)

失業給付の1日あたりの基本手当日額は、退職前6ヶ月の平均賃金の50〜80%が目安です(賃金が低いほど給付率が高くなります)。

  • 月収20万円の場合:月約12〜14万円
  • 月収25万円の場合:月約14〜17万円
  • 月収30万円の場合:月約15〜18万円

生活費の全額を補うほどではありませんが、大きな助けになります。

貯金が足りない場合にできること

「今すぐ辞めたいけど、貯金がまだ3ヶ月分もない」という場合、選択肢は3つあります。

辞める日を決めて、それまで貯める

「いつか辞める」ではなく、「○月○日に辞める」と先に日付を決めてしまうのが効果的です。日付が決まると、逆算して「毎月○万円を積み立てれば間に合う」という計画が立てられます。

たとえば3ヶ月後に辞めるとして、毎月5万円の積み立てを足せば15万円増やせます。小さく見えても、今の生活費を少し見直すだけで積み立て原資が生まれることがあります。

副業・節約で退職前に生活コストを下げておく

退職前から生活コストを下げておくと、退職後に必要な貯金額のハードルも下がります。スマホのプランの見直し・使っていないサブスクの解約・外食を週1回減らすだけでも、月1〜2万円の差が出ます。

「退職前から退職後の生活を先取り体験する」つもりで固定費を絞っておくと、退職後のお金の不安も軽くなります。

心と体が先に限界なら、辞めることを優先してもいい

貯金よりも大切なことがあります。適応障害やうつ病は、放置するほど回復に時間がかかります。「もう少し我慢して貯金してから」と思いながら心と体を消耗し続けた結果、転職活動すらできなくなるケースもあります。

仕事の限界サイン7つに3つ以上当てはまっているなら、お金の問題を解決してから辞めるより、辞めることを先に決めた方がいい場合があります。一人で抱えずに、まず話を聞いてもらうことから始めてみてください。

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退職前にやっておくお金の準備チェックリスト

退職後に「しまった」とならないために、辞める前に済ませておくことがあります。

有給消化で最後の給与を最大化する

退職前の有給休暇の消化は、労働者の権利です。有給が15日残っていれば、日給換算で約15日分の給与が追加で手に入ります。月収25万円なら日給約12,000円×15日=約18万円が余分に入ってくる計算です。

直接上司に言いにくい場合は、退職代行を使う前に知っておきたいことの記事も読んでみてください。労働組合連携の退職代行なら、有給消化の交渉まで任せられます。

退職後すぐかかる「固定費の増加」を把握する

退職後は以下の固定費が増えます。事前に把握しておくと、貯金の目安がより正確になります。

  • 国民健康保険:前年収入をもとに計算。会社員時代より高くなるケースが多い(月1〜3万円程度増加)
  • 国民年金:月額17,920円(2026年度)が全額自己負担に(会社員時代は半額を会社が負担)
  • 住民税:前年収入ベースで6月頃に一括または分割で請求される

退職後の手続きリストを印刷しておく

退職後にやること・手続きチェックリストをあらかじめ手元に用意しておくと、退職後に慌てずに済みます。退職直後は精神的にも疲弊していることが多く、「何をすればいいかわからない」状態になりやすいので、事前準備がとても効果的です。

よくある疑問Q&A

Q1: 貯金100万円あれば退職できますか?

単身・一人暮らしであれば、100万円あれば現実的に動けます。生活費6ヶ月分として考えると月17万円×6ヶ月=約100万円が安心ラインの目安なので、ほぼ合致します。ただし、健康保険・年金の増加分や転職活動費も含めて計算しておくと安心です。

Q2: 退職前に転職先を決めておくべきですか?

体力・精神的な余裕があれば、在職中に転職活動をするのが理想です。ただし、心身のどちらかが限界に来ているなら、無理に在職中の転職活動をせず、辞めてから落ち着いて探す方が良い転職につながることもあります。どちらが正解かは、今の状態次第です。

Q3: 退職したいが親に反対されています。どう説明すればいいですか?

「辞める理由と次の見通し」の2点を具体的に伝えると、親の不安が和らぐことが多いです。「○月に辞めて、失業給付を受けながら転職活動をする。それまでの生活費は手元に○万円ある」という形で、数字を見せながら話すと説得力が増します。

Q4: 退職後の生活費が心配です。節約のポイントはありますか?

まず固定費(スマホ・サブスク・保険)の見直しが効果的です。毎月1〜2万円の削減はむずかしくありません。次に食費で、自炊を増やすだけで月3〜5万円変わることがあります。無職期間中は「使わない工夫」よりも「固定費を削る工夫」に集中すると、精神的に楽です。

Q5: 退職代行を使うと費用はかかりますか?

はい、費用がかかります(2〜3万円が目安)。ただし、有給消化の交渉をしてもらうことで、逆に退職前の給与が増える場合があります。「退職代行費用<有給消化で増える給与」になるケースも多いので、一概に損ではありません。

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弁護士法人ガイア 退職代行

まとめ:退職前の貯金は「最低50〜60万円・安心100万円超」が目安

この記事のまとめ
  • 最低ライン:生活費3ヶ月分(単身なら約50〜60万円)
  • 安心ライン:生活費6ヶ月分+転職活動費10万円(単身なら約110〜120万円)
  • 失業給付は退職から約1.5ヶ月後に入り始める(2025年4月改正で給付制限が1ヶ月に短縮)
  • 辞める前に有給消化・固定費増加の把握・手続きリストの準備をしておく

「お金が心配で辞められない」という気持ちはよくわかります。でも、その不安は「数字に変えること」で半分は解消されます。まず自分の月の支出を計算して、必要な貯金額の目標を持つことから始めてみてください。

仕事を辞めたいと思ったら最初にすることもあわせて読んでみてください。一歩ずつ、着実に準備を進めていきましょう。

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この記事を書いた人

35歳・会社員。10年前、入社9ヶ月で適応障害になり退職。現在は転職後の職場で10年勤続中。「あの時のわたしが知りたかったことを届けたい」という気持ちで、退職・転職の体験をもとにブログを書いています。

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