退職が決まった、または退職した翌日——。
「次は何をすればいいんだろう」と、頭が真っ白になる人は多いと思います。わたしもそうでした。体が動かなくなって会社を辞めた直後、「まず何をすべきか」を調べる気力すらなかった。
でも、退職後の手続きには期限があるものが多く、知らないまま放置すると損をしたり、ペナルティが発生することもあります。
この記事では、退職後にやるべき手続きを優先度の高い順にチェックリスト形式でまとめます。「何から手をつければいいかわからない」という方が、この記事を見ながら一つずつ進められるよう書きました。
退職後の手続き 全体マップ
退職後にやることは大きく4つに分かれます。
- ① 健康保険:退職日の翌日から無保険になるので最優先
- ② 年金:国民年金への切り替えが必要(免除申請も可能)
- ③ 住民税:在職中とは支払い方が変わる・まとめ請求に注意
- ④ ハローワーク・給付申請:失業給付や特定理由離職者の申請
それぞれ、期限・窓口・必要なものが違います。順番に見ていきましょう。
① 健康保険の切り替え【退職後14日以内】
退職すると、会社の健康保険(社会保険)を翌日から使えなくなります。病院に行けなくなる前に、必ず切り替えてください。
選択肢は2つあります。
選択肢A:国民健康保険に加入する
- 窓口:お住まいの市区町村役場
- 期限:退職日の翌日から14日以内
- 必要なもの:離職票または退職証明書、マイナンバーカード、印鑑
- 保険料は前年の収入をもとに計算される(退職翌年は高くなりがち)
失業・倒産・解雇・特定理由離職者に該当する場合は、国民健康保険料が最大で前年収入の30%分しかかからない「軽減制度」が使えます。役場の窓口で「非自発的失業者の軽減を申請したい」と伝えてみてください。
選択肢B:任意継続(元の会社の保険を2年間継続)
- 窓口:加入していた健康保険組合または協会けんぽ
- 期限:退職日の翌日から20日以内
- 在職中は会社が半額負担していた保険料を、全額自分で払うことになる
- 最大2年間継続可能。保険証がそのまま使えるメリットがある
どちらが安いかは収入や住む地域によって変わります。国民健康保険の軽減制度が使える場合は、国民健康保険の方が安くなるケースが多いです。役場の窓口で試算してもらえます。
家族の扶養に入る選択肢も
配偶者など家族の健康保険に扶養として加入できる場合は、保険料がゼロになります。ただし、失業給付を受け取っている期間中は扶養に入れない場合があるので注意してください(給付日額3,612円以上の場合は対象外になるケースが多い)。
② 年金の切り替え【退職後14日以内】
会社員の間は「厚生年金」に入っていましたが、退職後は「国民年金」に切り替える必要があります。
- 窓口:お住まいの市区町村役場(健康保険と同じ窓口でOK)
- 期限:退職日の翌日から14日以内
- 必要なもの:年金手帳またはマイナンバーカード、離職票
払えない時は「免除申請」を忘れずに
退職後で収入がない時期、国民年金の保険料(2024年度:月額16,980円)が重くのしかかります。でも、払えない場合は「免除申請」「猶予申請」ができます。未払いのまま放置すると将来の年金受給額が減ったり、障害年金を受け取れなくなるリスクがあるため、必ず申請してください。
失業を理由とした申請は審査が通りやすく、全額免除・半額免除・4分の3免除・4分の1免除の4段階があります。役場の年金担当窓口で「退職したので免除申請をしたい」と伝えれば案内してもらえます。
③ 住民税【退職月〜翌年5月分に注意】
住民税は、在職中は給与から天引き(特別徴収)されていました。退職するとこの仕組みが使えなくなり、自分で納付する(普通徴収)か、退職月の給与や退職金から一括徴収されるかのどちらかになります。
1〜5月退職の場合は一括徴収に注意
1月〜5月に退職する場合、残りの住民税が退職時の給与から一括で引かれることがあります。最後の給与が思ったより少なかった…という経験をする人が多いのは、これが理由です。
一括徴収を避けたい場合は、退職前に会社の人事・総務に「普通徴収に切り替えてほしい」と申し出ることができます(会社によって対応が異なる)。
退職翌年の住民税は「高い」と覚悟する
住民税は前年の収入をもとに計算されます。退職した年に収入があった場合、退職翌年の6月頃から住民税の納付書が届きます。在職中はよくわからないまま天引きされていた金額が、まとめて請求される感覚になるため、心の準備と貯金が必要です。
④ ハローワークでの手続き【退職後、できるだけ早めに】
仕事を探す意思があるなら、退職後はなるべく早くハローワークに行きましょう。失業給付(基本手当)を受け取るための手続きが必要です。
- 離職票(会社から郵送されてきます。遅い場合は催促を)
- 雇用保険被保険者証
- 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)
- 証明写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
- 印鑑
- 振込先の通帳またはキャッシュカード
適応障害や体調不良での退職であれば、「特定理由離職者」として申請することで受給条件が有利になります。診断書の写しがあるとスムーズです。詳しくは失業給付と特定理由離職者の記事をご覧ください。
体調が回復していない場合は傷病手当金を先に
まだ働ける状態でない場合は、失業給付より先に傷病手当金(健康保険から給付)の申請を検討してください。失業給付は「働ける状態にある人」が対象のため、療養中は受け取れません。
「休職か退職か」の判断も含め、休職と退職のどちらを選ぶかの記事も参考にしてみてください。
退職後の手続き チェックリスト一覧
全体をまとめたチェックリストです。印刷して使ってください。
- □ 健康保険の切り替え(役場 or 健保組合へ/14〜20日以内)
- □ 国民年金への加入手続き(役場へ/14日以内)
- □ 年金免除・猶予申請(希望する場合)
- □ 住民税の支払い方法確認(退職時の給与明細を確認)
- □ ハローワーク登録・失業給付申請(離職票が届いたら)
- □ 特定理由離職者の申請(該当する場合)
- □ 傷病手当金の申請(療養中で在職1年以上の場合)
- □ 源泉徴収票の受け取り(確定申告・転職先提出に必要)
- □ 確定申告(退職した年に収入があった場合、翌年2〜3月に)
よくある疑問 Q&A
Q. 離職票がなかなか届かない。どうすればいい?
会社が離職票を発行するまで最大10日程度かかります。それ以上待っても届かない場合は、会社の人事・総務に確認してください。会社が対応しない場合は、ハローワークに相談すると直接確認してもらえます。
Q. 確定申告は必ずやらないといけない?
年の途中で退職した場合、年末調整が行われないため、払いすぎた所得税が還付される可能性があります。退職した年に収入があれば、翌年2〜3月に確定申告をすると戻ってくるお金があることが多いです。義務というより、やった方が得なケースがほとんどです。
Q. 退職後、すぐに転職先が決まった場合は?
転職先が決まった場合、健康保険・年金の切り替えは新しい会社が手続きしてくれます。失業給付の申請は不要になります。ただし、転職先の入社日までに空白期間がある場合は、その期間だけ自分で手続きが必要になります。
まとめ|手続きを「知っていること」が心の余裕につながる
- 健康保険は退職翌日から14〜20日以内に切り替えを(無保険期間をゼロに)
- 年金は役場で切り替え+払えない時は免除申請を忘れずに
- 住民税は退職翌年に高額請求が来ることを覚悟しておく
- ハローワークで失業給付申請・特定理由離職者の認定を受ける
- 確定申告で所得税の還付を受けられる可能性あり
退職後の手続きは、知っていれば難しくありません。でも知らないまま進むと、気づいたら無保険だった・お金が戻ってこなかった、ということになりかねない。
「知っていること」が、退職後の不安を小さくする一番の方法だと思っています。
退職の手続き全体については、診断書をもらって退職した話もあわせて読んでみてください。
ゆかり
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