適応障害で退職した話|診断書を郵送して上司と話さずに辞めた私の9ヶ月

「適応障害」という診断名を告げられたとき、正直ほっとしました。自分がどうにかなってしまったのではなく、「環境のせいで体が反応している」とわかったから。

私は新卒で入社した職場を9ヶ月で退職しました。理由は直属の上司からの学歴ハラスメントです。「院卒様」と言われ続け、体が動かなくなっていくのを感じていました。

この記事では、適応障害と診断されてから退職するまでの実際の流れと、退職後に使える制度、そして10年後の今だから言えることをお伝えします。

この記事でわかること
  • 適応障害と診断されてから退職までの実際の流れ(体験談)
  • 「退職は甘え」ではない理由と10年後の今
  • 傷病手当金・失業給付など使える制度
  • 適応障害で退職するときの手順(STEP別)
  • 転職・再就職への影響と回復にかかった時間
目次

適応障害と診断されて、私がやったこと

診断名がついた日のことを、今でも覚えています。その後どう動けばいいか、何も知りませんでした。

心療内科で診断書をもらうまで

心療内科に行くことを決めるまで、少し時間がかかりました。「精神科に行くのは大げさじゃないか」「ただの気持ちの問題じゃないか」という気持ちがあって。

でも体は正直でした。朝、布団から出られない、涙が止まらない。「これはもう無理だ」と思ってようやく予約を入れました。

医師は私の話をひととおり聞いて、「適応障害です」と言いました。特定のストレス因子(この場合は職場の上司)によって、心身に症状が出ている状態。投薬と休養が必要で、環境を変えることが根本的な対処になると説明されました。

「病院に行く」というその一歩が、退職への第一歩になりました。

診断書は「疾病のため、○週間の自宅療養を要する」という内容で発行してもらいました。費用は病院によりますが、数千円程度が一般的です。

診断書を人事部に郵送した理由

診断書を受け取った後、次の問題は「どうやって会社に伝えるか」でした。

直属の上司は、ハラスメントの加害者本人です。「辞めます」と伝えに行けるはずがない。でも、退職の意思を伝えないことには何も進まない。

そこで選んだのが、人事部への郵送でした。診断書と退職の意向を書いたメモを封筒に入れて、人事部宛に簡易書留で送りました。

「そんなことができるの?」と思う方もいるかもしれませんが、できます。退職の申し出は人事部に直接してもルール違反ではありません。心療内科で診断書をもらって退職した話にも詳しく書いていますが、上司を通さなくても退職は成立します。

退職が決まるまでの流れ

郵送から数日後、人事部から電話がありました。「副社長と面談の場を設けたい」という内容でした。

わたしは、お断りするつもりでしたが急に辞めることに対して後ろめたさもあったので承諾。部署異動の話が出ましたが、「職場を根本的に変えたい」「あの上司と会いたくない」と思ったので受け入れることはできませんでした。

こちらの記事に詳しく書いていますのでよかったらどうぞ。

それからは人事部と電話とメールだけでやり取りをして、有給休暇を約15日間消化してから退職しました。上司とは、退職について一度も直接話していません。

「適応障害で退職は甘え」ではない理由

退職後、父に言われました。「3年は続けろ。甘えている。」あのとき、それに反論する言葉が出てきませんでした。でも今は、はっきり言えます。違います。

適応障害は「意志の弱さ」ではなく「環境との不適合」

適応障害は、特定のストレス因子に対して心身が過剰反応している状態です。「弱いから」「根性がないから」なるのではありません。むしろ、原因となる環境さえ変われば、多くの場合は回復するという特徴があります。

「気持ちの問題」と片付けられやすいですが、それは誤りです。環境が変わらない限り症状は続き、放置すれば悪化することも。退職という選択は、治療の一部です。

退職を選んで「よかった」と10年後に思う理由

あれから10年が経ちました。転職した職場に今も勤めています。

今の職場は、人間関係が穏やかです。毎日ではないにしても、あの頃のような涙は一粒もこぼしていません。仕事が終わって家に帰ると、ほっとする。当たり前のことが、あのときは当たり前じゃなかった。

もしあのまま続けていたら、どうなっていたかを考えることがあります。たぶん、もっと深刻な状態になっていた。退職は「逃げ」ではなく、「自分を守る判断」でした。

退職前に確認しておきたいお金のこと

退職するとしばらく収入がなくなります。でも使える制度はあります。まず知っておいてほしいことを整理します。

傷病手当金|働けない間の生活費になる

傷病手当金は、病気やケガで働けなくなったときに、健康保険から支給される給付金です。適応障害も対象になります。

支給額は給与の約2/3、支給期間は最大1年6ヶ月(2022年の改正で「通算」に変更)です。在職中に申請を始めておけば、退職後も継続して受け取れます。ただし退職後継続受給には、在職中に健康保険に1年以上加入していることが条件です。

傷病手当金と失業保険は同時には受け取れません。まず傷病手当金で療養に専念し、働ける状態になったら失業保険に切り替えるのが一般的な流れです。

失業給付|特定理由離職者として早めに受け取れる可能性

通常、自己都合退職だと失業給付には2ヶ月の給付制限があります。でも適応障害など病気を理由にした退職は、「特定理由離職者」として認定される場合があります。認定されると給付制限なしで早期に受け取れる可能性があります。

ただし失業給付は「働ける状態にある人」が対象です。療養中は申請できないため、回復後にハローワークで手続きをしてください。

退職後の生活費はいくら必要か

給付が始まるまでの空白期間を考えると、目安として生活費6ヶ月分以上の貯金があると安心です。退職前の貯金はいくら必要かについて別記事で詳しくまとめているので、参考にしてみてください。

適応障害で退職するときの手順

「何をどの順番でやればいい?」迷う方のために、流れを整理します。

STEP1 まず医師に相談・診断書を取得する

まず心療内科または精神科を受診してください。診断書は必須ではありませんが、あることで会社への説明がスムーズになります。

傷病手当金の申請にも使います。「精神科は敷居が高い」と感じる方は、内科でも「心療内科も診ています」というクリニックがあります。まずは予約を入れることが一歩目です。

STEP2 会社への伝え方(上司・人事)

直属の上司に伝えるのが一般的ですが、ハラスメントなど上司に直接伝えにくい事情がある場合は、人事部に直接伝えて構いません。私もそうしました。

伝える内容は「体調不良のため、退職したい」の一文で十分です。詳しい理由を説明する義務はありません。診断書を添えることで、会社側も手続きを進めやすくなります。

STEP3 退職日・有給消化・手続きを進める

退職日は会社と相談して決めます。有給休暇が残っている場合は、消化することができます。退職届の書き方退職後の手続きチェックリストも合わせて確認しておくと、手続きの抜け漏れが防げます。

よくある疑問Q&A

Q1. 適応障害での退職は転職に不利ですか?

転職活動では「なぜ辞めたか」を聞かれますが、「体調を整えるために一度立ち止まりました」と伝えれば自然に受け取ってもらえます。回復してから転職活動を始めれば、在職期間の短さよりも「次に何がしたいか」の方が評価されます。私も退職から3ヶ月後に転職活動を始め、転職先で10年間勤めています。

Q2. 休職と退職どちらを選ぶべきですか?

判断の軸は「職場環境が根本的な原因かどうか」です。職場の人間関係や上司が原因であれば、同じ環境に戻っても症状が再発しやすいため、退職の方が根本的な解決になります。一方、一時的なストレスが原因の場合は、休職して様子を見ることも選択肢になります。休職か退職かどちらを選ぶべきかも参考にしてみてください。

Q3. 退職後、何ヶ月で回復しましたか?

私の場合は、退職してから1ヶ月ほどで気力が戻ってきた感覚がありました。最初の1〜2週間は本当に何もできなくて、本も読めない、音楽も入ってこない状態でした。それでも焦らずにいられたのは、医師から「今は休む時間」と言われていたからです。回復の速さは人によって大きく違います。体が動き始めたら、少しずつ動けばいい。

まとめ:適応障害で退職するのは、逃げじゃない

適応障害での退職は「甘え」でも「逃げ」でもありません。環境が原因で発症した症状に対して、環境を変えるのは正しい対処です。

まとめ
  • 診断書は人事部に郵送でもOK。上司と直接話す必要はない
  • 傷病手当金(最大1年6ヶ月・給与の約2/3)と失業給付を順番に活用する
  • 退職後は焦らず療養してから転職活動でいい
  • 職場環境が原因の適応障害は、環境を変えれば回復できる

10年後の私が証明しています。あの9ヶ月で退職したことを、後悔したことは一度もありません。

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この記事を書いた人

35歳・会社員。10年前、入社9ヶ月で適応障害になり退職。現在は転職後の職場で10年勤続中。「あの時のわたしが知りたかったことを届けたい」という気持ちで、退職・転職の体験をもとにブログを書いています。

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